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なぜ彼女は処女膜で歌ったか

つまり、何故アシカは鹿ではないか

【読書1/5・第12回】△真保裕一「ホワイトアウト」▼有川浩「図書館戦争」

延滞により図書館に追っかけまわされています。

それもこれも井上靖額田女王」を読むのがものすごい時間かかるからなんだよなあ!

 

浅田次郎「メトロに乗って」

メトロの駅から昭和の色々な時期にタイムスリップする話。題材の趣味が素晴らしく、描写も完璧で、とにかく美しいしアドベンチャラス。しかしどうしても私が受け入れがたいのは、不倫を「恋愛の1つ」として扱い、不倫相手を素敵な恋人のように扱っているところだ。それさえなければ買うのに、それがあるおかげで胸糞。

 

三浦哲郎百日紅の咲かない夏」

暗い田舎で暗い生活を送る不運で暗い姉弟愛の話。暗すぎる。新聞で連載していたらしいけど、朝っぱらからこんな救いようのない話を読むのはどうなんだと思った。よくまとまっていると思うけど暗すぎた。

 

桐野夏生残虐記

「未成年に対する淫行、裁判、セカンドレイプ」というワードに嫌な思い出がある人は読まないほうがいい。狂気が濃い。小説家ってサイコパスなのかもしれない。

 

BEST1/5・真保裕一ホワイトアウト

ホワイトアウト (新潮文庫)

ホワイトアウト (新潮文庫)

 

これめっちゃ面白かった!!!

あらすじを説明するより、「ダイ・ハード雪山編」という言葉で全てが伝わると思う。能力が高過ぎる一般人が大活躍する話。アクション映画を観ているようだった。

皆さんダイ・ハードを観る時に人生の機微や教訓や哀愁を感じたいと思って観ますか?観ないでしょ?この本もそんなものいらんのです!もっとガーッとやってガッとしてグッとしてドカーンっていう感じで読めばいい!豪快な本です!

豪快な本に描写力が相まって最高のエンターテイメントでした。ごちそうさま!!

 

WORST1/5・有川浩図書館戦争

あぁ〜〜↑↓↑↓これねぇ〜〜〜〜↑↓↑↓

これ友達から貸してもらった本なのにWORSTに入れるの非常に偲びねぇ〜〜〜↑↓↑↓

でも私には合わなかったんだよなぁ〜〜〜〜↑↓↑↓

設定が異様なくらい作りこまれています。読書の自由が政府によって侵害される中、図書館だけが読書の自由を国民に提供するために戦っている、という設定。非常に細やかに考えぬかれています。

また設定を表現するための角度が豊富で、政治的な背景、関係組織同士の政治やお金の動きを紹介し、ちゃんと「図書館戦争」の情勢を表現していました。その点に関しては素晴らしい。設定の細かいところにリアリティが全然ない上、設定を紹介するのに登場人物が長々と講釈を垂れる「虐殺器官」みたいな本と比較すれば、何とも自然に設定が理解できます。

しかし素晴らしい設定であれば尚更、テーマが何なのかが重要だと思います。つまり、設定に対して登場人物はどう感じているのか、賛成なのか反対なのか、それともどんな社会でも人間は生きていけるもんなのか、読者に何を考えさせたいのかというところです。その点に関して、この本は非常に弱いと思います。割と淡々としているんですよね。読書の自由を侵害する側と守る側が戦争をして、時には人が怪我したりして、ずるいことをされたりする、ちゃんちゃん。その設定における日常しか描いていない。

恐らくそれは、主人公の性格によるところが大きいと思います。主人公の郁は非常にラノベ的存在で、とにかく脳天気で無礼な女の子です。彼女は読書の自由を守ることに対して熱狂的なのですが、だからといって大々的に行動したり熱弁したりするわけでもなく、あくまで設定を楽しませるための装置としての存在でしかないのです。

設定の中で色んなことが起こって日常が流れて、しかも特に問題もなくてそれなりに上手く行っていて、主人公もそれなりに楽しくやっている時、その小説は設定を楽しむためだけの小説となります。つまり非常に夢小説的になると思うんです。これだけ設定が作りこまれているのに、郁と堂上教官の恋愛夢小説なんだよなあ!ほんとこれ謎なんですけど!残念でなりません!ワクワク度は、設定が吐瀉物のようだけど色んなことが起こった「プリンセス・トヨトミ」の方が高い。

シリーズが何冊もあるので、読み進めれば違った展開になるのかもしれません。堂上教官すっごい好き。犯したい。

The Beginners' Guide To The Ballet:バレエで玄人っぽく寝る方法

バレエ好きとして最も奥歯ギリィなのは、「バレエ初めて観たけど、寝ちゃって意味わからなかったわー」と誰かに言われる時です。寝るなら私にチケットくれよ。説教したい気分にすらなる。劇場で寝るなんて肛門も不用心ですよ。

 

しかし考えてみれば、バレエは人を選ぶ芸術です。

何しろ眠いですからね!いや、バレエが眠いのは気のせいではないし、観る側の経験値が足りないわけでもありません!本当に眠い!

バレエは極論を言えば、高価なチケットを買って、2.5時間くらい柔らかい(もしくは不運にも硬くて劣悪な)椅子に座り、退屈な音楽を聞かされて寝かしつけられた挙句、心に残ってるのは払ったお金の額だけ、という悲惨なエンターテイメントです。オシャレな拷問なのです。

しかし人間、気持ちいいことだけして生きていられるとは限りませんよね。時には、悦楽のために拷問に身を投じてしまうこともある。エレガントな異性に「良かったらバレエなんて行かない?色々教えてあげるよ」と囁かれたら、そりゃあね!待ち受ける物が拷問だって知っていても、飛んで火に入る夏の虫よね!

そういう時、折角チケット代奢ってもらったのに、隣でずーっと寝こけてたみたいなことになったら、余りにも無様じゃないですか。意味なんかわからんでもいい、楽しめなくてもいい、ただただ起きていたい!ただ目を開けていられさえすればいい、閉幕後のバーで相手にテキトーな感想を伝えられさえすれば!そんな切実な願いってあるでしょ。

まあそんなロマンチックな機会が一生に一回もない不運な人生だとしても、時にはロリータっぽいバレリーナの容姿に惹かれたり、「くるみ割り人形」の元ネタを教養のために観ておきたいと思い至ったりする気まぐれなこともあるでしょう。そんな時にもただ劇場で寝てるだけなんて、余りにもお金と時間が勿体無いではありませんか!

 

というわけで今回は、初めてバレエを観る方向けにどうすれば劇場で寝こけずに済むか、少しコツをまとめておきたいと思います。

目標はとにかくできるだけ起きているというただ1点のみで、意味を理解するとか楽しむとか、そういう高級なことは言いません

初めて行ったバレエでできるだけ起きている、そして玄人っぽく寝る方法を考えたいと思います。

 

コツ1、あきらめる

まず、バレエというものをちゃんと理解しましょう。バレエは死ぬほど面白いものではありません。どんなエキサイティングな場面でも、バレエは必ず少しだけ退屈なのです。
バレエファンの人々は、自分はバレエで起きていられるからって他人もちゃんと起きていられるはずだと考えていると思います。「バレエだってちゃんと筋を理解していれば面白い」と言ったりする。それは間違ってると私は思います。バレエは筋を理解していても必ず眠い。
現代社会には、バレエを凌駕するエンターテイメントがたくさんあります。ダンス・音楽・舞台芸術・肉体美を楽しみたいなら、シルク・ド・ソレイユでも行った方がずっとエンタメ性が高いのです。そもそもダンスなんか観たくない時も多いでしょ。アニメ観てた方が楽しい時だってある。
にも関わらずなぜ、バレエに行かねばならないのか。それはバレエ特有の眠さが好きだというキモチワルイ嗜好を満足させるために行くのです。その「バレエ特有の眠さ」というのは、バレエファンのボキャブラリーで言うと、「ロマンチックな雰囲気」だったり、「優美な体の動き」だったりするわけですが、そんなものは初心者の目から見ればただの「眠さ」「退屈さ」です。「ロマンチックな雰囲気」だと期待して行った初心者が寝て帰ってきて、「もうバレエなんか行くもんか」と思ってしまうなんて、悲劇以外の何物でもありません。
もう「バレエが眠くない」という欺瞞はやめて、過度に期待するのはやめましょう。バレエを初めて観に行く人は、バレエは必ず眠いものであると認識した上で、その眠さとはどんなものであるのかを探りに行く気持ちで臨むべきかと思います。「なぜ、バレエファンはこの眠さにハマってしまうのか」という謎を解き明かしに行く気持ちで劇場へ行きましょう。そして、退屈な場所を見切って上手に寝ようではありませんか。
初手、諦める。
 
コツ2、どんな素晴らしい作品にも必ず寝ていい場所がある
事前に寝溜めをしてきても、余りにも眠い時ってありますよね。バレエ作品の中には「寝てもあらすじ的に差し支えない場所」が設けられていることが多く、そういう時に狙って寝ることが可能です。
ただし、コツ2を解説する前にやっておくべきことがあります。もし自分で観る作品を選べるのであれば、とんでもなく眠い作品を観に行くのは避けるべきです。とんでもなく眠いものの見分け方は、大体以下の通りかと思います。
 
<とんでもなく眠い作品の見分け方>
・起承転結を伴う演劇仕立てではない
・コンテンポラリーというジャンルに属す
・あらすじが概念的/もしくはない
・登場人物が少ない/役名がない
・音楽が嫌い
 
こういったものは、初心者には必ず眠いです。こんなん私も寝ます。
逆に言うと初心者には、起承転結を伴う演劇仕立てで、あらすじがちゃんと物語として成立していて、ちゃんと役名がついた登場人物がたくさん出てくる、結構好きな曲調のクラシックバレエがおすすめです。作品選びだけでなかなか寝ずにいられます。
 
さて、どうしようもなく眠い作品に見に行かざるを得なかった/素晴らしい作品を選んだはずなのに眠い場合、いつ仮眠をとるかについてです。
 
あらすじがちゃんとある数幕で構成されたクラシックバレエ作品の場合、寝ていいタイミングがちゃんとあります。
 
<寝ていいタイミング>
・知らない人の結婚式/村のお祭りが始まった場合
クラシックバレエには、民族的な舞踊コーナーを作品の中に設ける謎の縛りがあることが多いのですが、無理矢理ねじ込んでいるのであらすじには無関係なことが多いです。知らない人がうじゃうじゃ意味の分からない踊りを踊りだした時、これは寝ていい合図です。変な花やリボンを持ってたらもう確定でしょう。

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写真は花で出来たリボンですから、W役満ですね。
くるみ割り人形のクリスマスパーティーなど、主人公の性格を表現する演技が含まれる時もあるので完全に不要とも言い切れないのですが、寝たからどうということもないと思います。
 
・知らない3人が踊り出した時

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写真のような、役名のない3人が踊るのを「パ・ドゥ・トロワ」と言います。こういう踊りは、結構上手な人が踊ることが多くて、ダンスが見たい人にとっては興味深いと思います。
しかし、パドゥトロワがあらすじに関係していたケースを見たことがない。100%寝ても差し支えありません。しばしば、結婚式や祭りシーンの中に含まれることがあります。グースカピー!
 
・同じ服を着た30名以上の人が踊りだした時
これはちょっと感覚的で見分け方が難しいかなと思うのですが、あらすじに関係することを30名余りの役名のない謎ダンサーと共に表現しなければならないシチュエーションは考えられません。物語に関係することは、役名のある人々しか踊らない/演技しない状態で表現するのが自然でしょう。つまり、30名余りの謎ダンサーが一斉に同じ踊りを始めた時、それはスリーピングタイムを意味するのです。

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この30名以上の謎ダンサーのことをコールドバレエと呼びます。群舞隊ですね。コールドバレエがひとしきり踊った後には、あらすじに動きがあることが多いと思いますので、踊りの最後には起きてください。
 
以上の3箇所が、玄人っぽい睡眠タイムです。寝る時間ですが、1コマ10分くらいで寝るイメージかなと思います。歌舞伎やオペラだとベラベラ喋るので5分くらいで物語が進みますが、バレエは意外と寝れます。作品によっては1幕全て寝ても差し支えない場合もあるのですが、観たことない作品でやるのはなかなかチャレンジングなので、とりあえず10分の 仮眠を取って、あらすじの展開に備えましょう!展開しなかったらまたお休みなさい!
 
ちなみにあらすじが余りにもぼんやりした作品を観に行ってしまった場合は、任意のタイミングで寝て下さい。寝ていても起きていても、存在しないあらすじの理解には影響ないですからね!
 
コツ3、困ったら手と足を見る
振付からあらすじを読み取ることができると、寝こけにくくなります。しかし、振付の9割には意味なんかありません。
中にはユニバーサルに意味が統一されている振り「マイム」というものがあり、これはどの作品でも同じ振りは同じ意味を示しています。バレエの中の手話みたいなものです。しかし、それを見たってあらすじがわからなくなることもあります。
わからなくなったらあきらめて、ダンサーの手と足を見ていましょう。ダンサーの上手さは、手の関節の柔らかさと足の強さで測られるそうです。そういうことについて想いを馳せましょう。あの人はあの人よりも手の関節が柔らかいから上手いのかなとか、あの人のつま先立ちはすごく安定しているとか、あの人のジャンプはあの人より高いぞとか、そういうことを考えましょう。
それも飽きたらお尻を見ましょう。ダンサーのお尻は、なかなか普通の生活でお目にかかれるお尻じゃないですし、目に焼き付けましょう。
 
 
この3つのコツで、2.5時間の舞台中、1時間くらいは起きていることが可能なのではないでしょうか。1時間起きていたら、あらすじはかなり理解できると思います。これで閉幕後、素敵な相手とバーでおしゃべりするくらいには起きていられますね!
さあ劇場で玄人っぽく寝よう!

【読書1/5・第11回】△綿矢りさ「インストール」▼米澤穂信「氷菓」

どんどんいくよー

 

芦辺拓紅楼夢の殺人」

これは面白いですね!中国古典をモチーフにしたミステリー小説で、中国貴族の風俗が楽しめます。ミステリーファンでない人にはおすすめできます。
ミステリーファンが読むと、「このトリック何なんじゃオラ」って気持ちになるかもしれませんが、モチーフの良さでトントンくらいにならないかしら・・・。
私はミステリーファンではないので、もう少し風俗の描写を耽美的にしてほしかったなとちょっとだけ思います。少々事務的な印象を受けました。

 

梨木香歩西の魔女が死んだ

梨木香歩の文章はなんて美しいのでしょうか。多分梨木香歩は詩を書いてもすごいはずです。話のプロットは、結構イカしたライフスタイルを持ったおばあちゃんと不登校の孫の交流物語です。ちょっとだけ、ちょっとだけなんですが、短いと感じました。児童書だったら多分もっと引き伸ばして、おばあさんからの学びをもっとわかりやすく書くんじゃないかと思います。この本は大人向けなので、その辺を引き伸ばさずばっさり終わることによって、余韻を出そうとしているのだと思いますが、私は物語が終わるのが名残惜しかったです。もっと浸っていたかったよう。家守綺譚のときはそうでもなかったんですが。そう思わせるくらいの魅力があるとも言えます。

 

・柴田よしき「RIKOー女神の永遠」

よくある男女共同参画社会@警察物です。「ストロベリーナイト」「凍える牙」と比較すると、この作品の主人公が最もリアルで、真実味があります。つまり、彼女は汚く、女々しく、ウジウジしており、何が一番大事なのか全くわかっていないということです。
余りにも現実っぽいので、逆に共感が難しい。彼女のように、本当に愛してくれている男を裏切って、自分を全く愛してくれないセフレを何人も作り、自分をレイプした相手ともセックスをして相手を屈服させるような女性、現実にいたら多分「自分で決めたことなんだから自分で責任取って強く進んでいけ」と思うし、文句を付ける筋合いもないでしょう。じゃあそれをフィクションでやったら、文句つけていい/つけないでいいのかって少々悩ましい小説です。主人公の素行が余りにも悪く、こちらを黙らせる力がある。主人公が余りにも間違っており、愛とは何かについて逆に考えさせてくるという点で、構造が「アヒルと鴨のコインロッカー」と似てます。結構胸糞です。

 

BEST1/5・綿矢りさ「インストール」

インストール (河出文庫)

インストール (河出文庫)

 

 思いつきで手に取って読みました。今更感はありますが、高校生の時に読まなくてよかったと思いました。苦悩が重すぎて、当時読んだら嫌いになってたかもしれない。
「あっ、この人はマジで才能があるんだ・・・!」と思いました。こんなことを思うのは初めてです。小説を読んで、この人は文章力があるとか、描写がいいとか、設定がいいとか、そういう感想を持ったことはあります。しかし、「インストール」はそういう普遍的な感覚を超越しています。
文章力という言葉で表すのが憚られるような文章です。説明が上手いのではなく、リズム感が卓越しています。こんな句読点の使い方、体言止め、心情の入れ方、音楽的と言えばいいのでしょうか。圧倒的です。苦しいほど美しい。誰がこんな文章を書けるでしょう。設定は確かに平凡かもしれませんが、平凡な設定からこれだけの苦しみを書き起こしたのには驚きます。
彼女は他の誰にも真似ができない、輝くものを持っています。「インストール」には才能の輝きと共に、思春期の苦しみが編み込まれています。書くことの痛みがこちらにも伝わってきます。先輩作家が、文庫本の最後の解説で「苦しくてもあなたには才能があるから書かねばならない」と書いていました。本当にそう思います。

 

WORST1/5・米澤穂信氷菓

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

 

これ登場人物を高校生じゃなく70代にして、古典部は老人会の古典サークルにしたら良い小説ですよ。元気な高齢者の小説は若者にも元気を与えますからね!

今まで何度か、高校生を描く小説における高校生らしさ・らしくなさについて、別の本のレビューで書いたことがあります。私はもう大人なので高校生は子供らしく描いてほしい方ですが、まだ私は若くもあるので、大人のノスタルジアを押し付けたような理想的な子供像にも反感を覚えます。そういう意味では、高校生を描いた小説にはかなりのリアルさ、自分の現実と近い雰囲気を求めていると思います。そうじゃないと感情移入できず、フィクションとして楽しむどころか、悪い意味での作り話にしか読めないのです。

その意味で、この小説は今まで読んだ高校物の中で最も激しい苦痛を覚えました。登場人物の老衰した言葉遣いと、実力を伴わないインテリぶりが耐え難かった。本物の高校生が読むとカッコイイと感じるんでしょうか?25歳にはかなり噴飯です。もうページをめくる消化試合っていう感じ。
登場人物のセリフが全て噴飯物です。「ご執心になるようなものとも思えんがね」と発言する高校生がいるんでしょうか。別に実在しなくてもいいですけど、これがカッコイイんでしょうか?これを会話文に出してくるのは団塊の世代ではないかと思うのですが、この人は前世の記憶を持ってるのかなって本の最後まで期待していました。でもただのエセインテリなだけだった。しかも一人じゃないのよ!!全員なのよ!?全員前世の記憶を持っていて欲しかった!!
これ会話だけならまだ耐えられるかもしれませんが、地文も全部そう。「簡にして要を得ている」とか高校生の一人称の地文で入れちゃう。感情移入しろと言われても不可能です。せめて地文を三人称視点にしてくれれば多分耐えられたと思うのですが。
主人公がこれだけ凡人離れした語彙を持っているインテリなら、成績が学年1位とかだったら、まあそれなりに納得ができます。森見登美彦なんかそうで、あれは京大生だから(京大生以外の読者にとっては)何かリアリティが感じられますよね。でもこの主人公、成績が悪い。成績悪くても地頭がいい天才という逃げ道もあるが、彼が頭脳を褒める相手が普通すぎる。「文章の要点の把握が上手い」みたいな、全然すごくないことしか褒めないので、地頭がいい天才ではないようです。じゃあ主人公は頭が良いわけじゃないのにその上から目線は何様なんだって感じなんですよ。もう全てにおいてリアリティの欠片もないし、共感もできないし、主人公をカッコイイと思えないし、ちっとも好きになれなかったです。せめて美青年であってほしいけど、美青年って地文が一人称じゃ表現できないんだよねえ。
またジョークがこれ見よがしな上に古すぎる。
女「不毛です」
男「一年に2回植えるやつか?」
お寒い。そもそも意味がわからない。
物語の設定は普通です。面白かったのかもしれませんが、余りにも文章自体の苦痛が大きく、とても冷静な判断はできませんでした。
謎解きに関しては、私の大嫌いな「重要な手がかりに気付いているが今は確認しない」「何かをきっかけに突然思い出す」という二つの行為で謎が引き伸ばされていますので、ミステリー小説としても強引です。この二つはバレないようにやらないと全てがゲームに見えちゃいますね。「この部屋に入る前に今は他にやることがあるようだ・・・」みたいなね。
この小説は、アニメなら全てが許されます。アニメなら全てお約束の設定なんですよ。だからアニメのノベライズなら全く何の疑問も抱きません。えるたそが可愛ければもう何も文句言わない。でも逆なんですよ。小説がアニメの原作なの。私にはこの本は合いませんでした。えるたそは結構可愛いかったです。
 
 

【読書1/5・第10回】△三浦しをん「風が強く吹いている」▼乾くるみ「イニシエーション・ラブ」

これで50冊読みました。ここまででわかったことですが、私の好みは、個性的で語句不足な文体で詩人っぽく夢のように書いてくれる作家です。逆に一生懸命文字数費やして説明してくれる作家は酷評してしまいます。ツンデレですね。

なので私が酷評していても、余り気にしないでいただきたいです。誰でも文句言ってる時が一番瞳がキラキラしてるでしょう。

 

この小説は電子書籍で読んだのが良くなかったのでしょうか。評判に比べて全く楽しめませんでした。
建築学科教授、プログラマーの天才、あと大学の新入生の天才という三人の天才が登場するのですが、誰一人として天才に思えません。この三人の天才は、どうしても人離れしてるように描かれるため、人間らしいところもなくなり、感情移入ができませんでした。なので物語の展開に対して、ふーん、としか反応できない。
ミステリーファンであれば、おそらく謎解きが気になって、トリックに感動して、という印象も持てたのだと思いますが、私はミステリーファンではありませんので、登場人物が好きでないといくら人が死んでも、ふーん、としか思えません。どうやら続編を読むと色々わかって面白いらしいのですが、私は読むことはないと思います。少々勝手な意見だとは思いますが、シリーズってかこつけて「本当の面白みや人物描写は次巻以降で!」っていう本はずるくないでしょうか。
全体の印象として、「勝手にFになれ」と思いました。
 
2chの読書オススメ板で異常に人気な本ですが、平凡だと思いました。戸籍人探し系のミステリーは他にもあるし、この本が特別優れているようには思えませんでした。しかしこれは期待が高かっただけとも言えます。
失踪する人は小説として読んでドラマティックな事情があるのではなく、ただの普通の人なんだよということを描いた小説だと思いますので、エンタメ性はその分下がっても仕方がないと思います。
 
乃南アサ「凍える牙」
ウルフドッグが暴れまわる事件を追う女性刑事と、男性中心で回ってきた警察機構との摩擦などを描いた話です。この手の男女共同参画社会的な小説が流行っていた時期なのかな。女性刑事ものはほとんど必ずこんな感じで、あんまり楽しい気分で読めません。同じく女刑事物の「ストロベリーナイト」よりは良いです。「ストロベリーナイト」は女性刑事の性格が媚びてて腹が立ちましたが、こちらの刑事はちゃんと女性があこがれを持てるクールな感じです。
動物が関わるミステリーは初めて読みました。動物特有の適当さによってうまくご都合主義を隠そうとしている感じがしますが、動物を出す以上どうしてもこんな感じになっちゃうんでしょうか。
 
BEST1/5・三浦しをん「風が強く吹いている」 
風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

 

 はぁーーーーーーー若い男の子!大好き!運動してる男の子!大好き!大好き!

箱根駅伝に出る大学生たちの話です。もう終始胸がキュンキュンしました。あぁーーーーー楽しかったぁーーーーほんと萌えまくりました。
テーマ性とか聞かれるとちょっと困りますけど、登場人物に感情移入して、あぁ頑張れ頑張れって思って応援して、最後まで結末が気になっちゃったくらいなので、私は何の批判もしようがありません!
敢えて言うなら少々児童書的な展開だと思います。スポーツによって引き起こされる感情の深み、苦しみ、挫折、メッセージ性に期待して読む方は多分物足りないと思います。スポーツをやっている男の子を眺めていたいだけのスポーツライトユーザーにオススメです。駅伝の雑学も得られて満足です。
 
イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

 この作品は目的のはっきりした小説です。叙述トリックのためだけに存在している小説です。叙述トリックを使う目的はありません。ただ使いたかったから使う、非常にあっさりした考え方です。

この小説は叙述トリックのみしか旨みがありません。いや、叙述トリック自体にも旨みはないでしょう。叙述トリックを使ったことによって、読者にもっと素晴らしいメッセージが伝わるとか、面白かった筋書きがより面白くなるとか、それが叙述トリックの旨みだと私は思います。しかしこの小説は、叙述トリックなしの筋書きが余りにも面白くなく、何も楽しくないんです。叙述トリックなしでは何も面白くない筋書きに叙述トリックを入れて、さあ面白いでしょうという小説です。
初めて付き合った相手とは大体別れちゃったりして、これが通過儀礼ってヤツだよねっていう「イニシエーションラブ」というテーマ自体も、正直大きなお世話で、世の中には初めて付き合った相手と結婚して添い遂げる人間もたくさんいるだろうに、お粗末な考え方と言わざるを得ません。そのお粗末な考え方も共感できないまでも納得できるように描いてくれれば良いのですが、テーマの掘り下げについてはノータッチでしたので、反応に困りました。
偉そうに言って本当に申し訳ないと思いますが、内容がなさすぎます。叙述トリックも含めてショート・ショートくらいの内容の厚みしかない。メッセージ性もない。時代を象徴する今っぽい事象でもないし、事件性もないし、新規性もない。「箱男」の最初の1ページだけでこの小説全部合わせたくらいの事件性があります。これを買うのは絶対におすすめしません。同じ叙述トリックなら、「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだほうが、叙述トリック自体にメッセージ性があるので価値のある時間になります。
ここまで酷評すると逆に読みたくなりそうですね。あらすじ解説サイトがいっぱいあるので、それを読むだけで十分です。
 

火の国

月も星も眠ってしまった
波も寝言をつぶやくだけ
しかし空は予感している
 
ふと黒の中に花が生まれる
紺の底から歌が生まれる
そして紫が追いかけてくる
 
希望は水平線の向こうから来る
その色は橙なのだ
 
白い小さな船が出た
まだ街は寂しい夢を見ている
死んだ水夫の魂はかもめになるそうだ
 
まばたきよりも早く水平線が裂ける
煌めく道の先は火の国だ
その国には悲しみがない
 
網に銀の鱗が跳ねている
魚は涙から作られる
魚を食べた人間は
誰も火の国にはたどり着くことはできない
しかしそれは失望だろうか
 
朝が来た
 
 
ーーーーーーー
実際に見た風景を詩にするのは難しいですね
がんばってんだけどなー

【読書1/5・第9回】△横山秀夫「クライマーズ・ハイ」▼リリー・フランキー「東京タワー」

久しぶりに迷わず褒めちぎりたいのと、迷わずこき下ろしたいのが5冊の中に入って幸せです。

 

愛川晶「化身」

主人公が1歳の頃の記憶をめちゃくちゃ正確に記憶しています。才能でしょうか。
全体の流れは面白かったのですが、主人公が徐々に事件の重要事項を思い出していく系の小説は、どうしても読み手に騙された感を抱かせますね。

 

吉本ばなな「キッチン」

正直またか、という感じ(デビュー作だけど)。
吉本ばななの小説は、精神不安定で他人に影響されやすい妄想癖がある女性が、年の割に上品で落ち着きすぎた天使みたいな個性のない男性と、好きなんだか好きじゃないんだかよくわからない雰囲気を醸し出し、最後まで読んでみて、あぁノロケだったの、と気付く、みたいなパターンが多くありませんか?

 

楡周平「Cの福音」

90年代中盤に書かれた小説なので、パソコンに関する設定が異様に古いのですが、じゃあ内容も時代遅れなのかというとそうでもありません。
麻薬取引に関する小説自体、読んだことがなかったので、結構興味深く読みました。
ただ大きく盛り上がる系のアクション小説という感じではなく、かなり淡々と描かれています。言ってみれば麻薬取引日常系小説です。麻薬をドラマティックに盛り上げて書くのではなく、事実(虚構)を普通に描きたかったのかな、と思います。

 

BEST1/5・横山秀夫クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

 

 久しぶりに見事な小説を読みました。読み始めたら止まらず、一晩で読みました。これは本当に素晴らしいエンターテインメントです。

日航123機墜落事故の時の新聞社が主な舞台です。これが非常に面白くて、とても勉強になりました。新聞がどうやって特ダネを載せるか、その葛藤みたいなものがとてもワクワクするように描かれていますし、そもそも日航123機墜落事故について詳しくもなれるという、神のような小説です。

また、報道倫理や命の扱いなど、メッセージ性の配分が心地よく、無駄に泣かせに来るわけではないのに、胸にちゃんとメッセージが残りました。泣け泣け言わないのに、ちゃんと深刻なんです。心地よい。
これは是非また読みたい小説です。今期最「他人に勧めたい小説」かもしれない。読んだことを自慢したい。

 

WORST1/5・リリー・フランキー東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜」

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

 

何故こんな小説を手に取ろうと思ったのか。今思えば血迷ってる。題名からして血迷ってる。

久しぶりにこんなにつまんない小説を読みました。

本の最初の方からお母さんが死ぬ話だってことはわかりきってるんですよ。そこから彼女が実際に死ぬまで490ページ。亡くなった時は「やっと!満を持して!」と思いました。素晴らしい話なのかもしれませんが、読み疲れました。490ページの間、ほぼ筆者がどれだけ仕事をしないでお母さんのお金で遊んで暮らしたか、みたいな話でした。アハイですよアハイ。寛容なお母さんでよかったねぇってな感じで。

まず小説の形式が非常に曖昧な感じです。私小説みたいな雰囲気を漂わせながら、突然現代を生きる筆者が、有名作家である自分の現在の価値観で若い女性に文句を言ったりするエッセイが挟み込まれるタイプの書物です。私はこの人に全く興味がないので、別にエッセイなんか読みたくなかった。面白くない通り越してウザかったですね。

爽快な嫌いさです。

 

FLASH

新緑が目に熱いのに

私は冬を忘れられない

もう負けないと信じているけど

まだ朝を迎えるのは恥ずかしい

 

過去よりも速く走りたい

記憶よりも速く生きたい

そうすればきっと逃げ切れる

きっと閃光になれば

 

古傷で測る幸せはない

でも苦痛がないと空虚だ

勝ってきた戦いがあるはずだけど

それが霧の向こうに見える影なのか

 

過去よりも速く走りたい

記録よりも速く生きたい

そうすれば逃げ切れるはず

閃光になれば私も