なぜ彼女は処女膜で歌ったか

つまり、何故アシカは鹿ではないか

火の国

月も星も眠ってしまった 波も寝言をつぶやくだけ しかし空は予感している ふと黒の中に花が生まれる 紺の底から歌が生まれる そして紫が追いかけてくる 希望は水平線の向こうから来る その色は橙なのだ 白い小さな船が出た まだ街は寂しい夢を見ている 死ん…

FLASH

新緑が目に熱いのに 私は冬を忘れられない もう負けないと信じているけど まだ朝を迎えるのは恥ずかしい 過去よりも速く走りたい 記憶よりも速く生きたい そうすればきっと逃げ切れる きっと閃光になれば 古傷で測る幸せはない でも苦痛がないと空虚だ 勝っ…

最低の戦

誰にでも突然自殺したくなる日がある。 理由がある時も、ない時もある。理由もなく、ただおもむろに自殺してみたくなることもある。 そんな日には、生存は防衛戦だ。 大体において、芸術は自殺を思いとどまらせる役には立たない。特に小説や詩のような、言葉…

おそ・・・ろ・・・しいの・・・・は・・滝 よ のつ・・・・・かな・ り し い む ・ 方の・・・去過 ・ 返 し ・ ろ り取・・・・・・・・・方・・・の渦

お そ ろ し い の は 渦 よ り む し ろ 滝 の 方 ・ 取 り 返 し の つ か な い 未 来 の 方

道を歩いている 春の道を歩いている 私の靴が歌っている みんなみんなごめんね 可愛い靴の下で死んだ蟻や 不注意な呼吸で温暖化した大気 たんぽぽの黄色が爆発しているよ それでも取り返しのつかない現在を歩いている 道を歩いてきた 冬の道を歩いてきた 私…

残忍な女の子

残忍な女の子の涙は花だといい誰かがそれを観て笑うといい 女の子の皮を被った強盗が今日も生きてしまうよ盗まずにはいられないの同情の欠片や思いやりの雫時間を乗りこなせば逃げるのなんて容易いもう蝶も飛んでいないパンツの中の赤い花畑抱いてくれたら不…

人は陸の上に住む 鳥は空の上に住む そして魚は水の中 父は渚にこぎ出して 今日も網を投げてます うちの魚はよく売れる 母は浜に繰り出して 背中の子供と貝探し 魚の瞳は蜷色だ あの子が泣いた 大津浪 船がお山に飛んでった 魚が路肩ではねている 坊主がお経…

愛の化石

昔、愛とかいうものがあったというのは、 誰でも知っている伝説です カブトガニは何千年を見てきたが この地球にはもはや愛の化石は生きていない 「昔は本当によかった」 愛は世界を救えたし、 心の渇きを癒した 今は、愛さえ世界を見殺しにする時代 こんな…

世界的な不幸(幸福)

幸せです 今生きている自分の人生が、何だかどこかで道を間違えて、混迷している結果のような、 つまり正しい選択肢を選び損ねたような、 もっと他の人が幸せになるような人生の可能性があったような、 そんな都合の良い気分に浸るほど幸せです。 もちろんこ…

サンドイッチ

悪い人になりたいなんて思ったことない 罪を犯そうと思ったこともない ただちょっと香辛料のつもりなだけ サンドイッチ食べよう 白い食パンに罪のレタス挟もう お腹に秘密隠して地下鉄で逃げるこの世に善人が多すぎるのは私のせいじゃないよ救った人より傷付…

遠く遠くに行きたい 手首に浮き出た血管を辿って 僕の頸動脈は 一日何万滴も血液を通す 流れ星は 守られなかった約束 世界の果てに隠された滝には 毎日 何億もの星が落ちるそうな 億千万の喜劇がひしめく夕闇に 雨が静かに降る 青い惑星

歌う宝箱

美しい物探して今日も気もそぞろ足元に砕けた宝石見つけて嘲笑う悲しいインテリだから私は下を見るのをやめたからっぽからっぽ、って歌うからっぽからっぽ、って私の宝箱歌うだから自分の宝箱に他人の宝物入れるの宝箱の底が見えないと足取りは弾むねこそこ…

眠れない未来

やたらに似ている午前二時この世の全ては何かに似ている本当にオリジナルな物なんてこの世にはないんでしょ全部先人がやったことがあることなんでしょ子供達のやることはみんな先人の盗作なんでしょ先人もした発想、先人も持った悩み、先人も書いた詩母よ、…

詩人と獣

孤独でいなけりゃ半人前絶望してなけりゃゼロ人前ああうるさいな私は誕生と共にこの世の終わりを想い光の中に絶望を見出し愛の中に怨念を歌ったもう十分じゃないのかそれでもなぜ、どうして、と尋ね 書け、歌えと脅すあれは悲しい言葉を喰らう獣希望をなくし…

悲しみは海の底で真っ白な魚になる

チヨちゃんは悲しいのでした 買ってもらったばかりの赤い靴が焼けてしまったので チヨちゃんは悲しいのでした 泣く泣く帰るチヨちゃんの足 涙の粒が万華鏡です 誰もが一番大切なものをなくしてしまう 夏の夕暮れ チヨちゃんは悲しいのでした 68年前に買って…

インスタント詩製造器

詩はとにかく数を量産した方が良い。 良い物を最初から書こうとすると、 ものすごくこじれてしまって、犬も食わない腐敗臭を放ったりする。 というわけで、超速で詩を製造する方法をお教えしよう。 ここで言っておきたいのは、 私は全ての文学系創作者の試行…

もっと詩を書けお前ら その4

最後。 最後に言いたいのは、もっと詩を楽しくやりましょうということ。 詩は、読むのも書くのも結構楽しいですよ。 一つの言葉にいくつも意味がある、とかお前らそういうの好きだろ多分。 中二病的な表現もふんだんに使えるし、 人は何人でも殺せるし、 欝…

もっと詩を書けお前ら その3

その2のつづき。 詩の読み方、感動の仕方みたいなところを話していた途中でした。 例えばどうやって詩を解釈するかというと、 「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた」 有名な早口言葉ですね。 この一行からは、坊主が畳に座って屏風に絵を描いているところ…

もっと詩を書けお前ら その2

その1のつづき。 「良い詩」の条件として、 ・多数の意味があること ・感動が深いこと を挙げました。 まず1点目に関してですが、 およそ詩人として通用している人々の詩は、 比喩、特に隠喩が多用されています。 例を挙げると、 「恋をしている際の気持ち…

もっと詩を書けお前ら その1

私は黒歴史量産機(プロ仕様・80年サポート付・太陽電池)なので、 色んな恥ずかしい秘密があります。言わないけどね!! ここで、ほとんど誰も知らない私の秘密を暴露したいと思います。 じょーたそさんは、詩を読むのが好きだというのは、 結構色んな人が…