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なぜ彼女は処女膜で歌ったか

つまり、何故アシカは鹿ではないか

【読書1/5第2回】△東野圭吾「新参者」▼連城三紀彦「火恋」

昨日の今日で、もう第二回。もう読み溜めがないので、次回はちょっとかかります。

 

今回の1/5はこちらです。

北村薫「スキップ」

17歳から突然25年後にスキップしてしまう女の人の話。北村薫は、日常生活を描くのがめちゃくちゃ上手い。何でもない日常が、ものすごく美しく意味があるものに見えてくる。また、北村薫の描く女性はみな芯が強靭。女性におすすめしたい。

 

北村薫「ターン」

同じ1日を何度も繰り返すループにはまってしまった女の人の話。平凡と言えば平凡なんだけど、ふとした時に100点満点を上げたくなるような話だなあと思う。とてもバランスがいい。綺麗な女性が大切に読んでいそうな本。北村薫の描く恋愛に興味がある方は是非。

 

伊坂幸太郎「重力ピエロ」

結構退屈な部類の小説かもしれない。部分を読み飛ばしても筋書きについて行けるくらい、筋書きが単純であり、蛇足が多すぎる。しかし作者がとても詩人で、登場人物の台詞に不自然なぐらい詩的な句を挟んでくるのが、何とも魅力的。特に癌細胞を擬人化した表現は、却って悲痛で美しいと感じた。退屈だけど魅力的という不思議な本。

 

BEST1/5・東野圭吾「新参者」

新参者 (講談社文庫)

新参者 (講談社文庫)

 

うーん、これを選ばなければならない苦悩。

この小説はとても良いものです。そりゃそうなんです。何せ設定の練り上げ方が、今回の1/5の中では断トツだったと思います。

人形町で起こったある殺人事件が物語の中心ではあるんですが、直接的に殺人事件を捜査する物語ではない。あくまで、そこに間接的に関わっている人々の間接的な関わり方から、殺人事件の描いていくのです。その奥ゆかしさがたまりません。
一つ一つの謎も複雑で、いかにも答えを知りたくなるように書かれている。作者の神の手なんてどこにも感じさせない。全てが自然な手続きを経て、登場人物によって解き明かされていきます。

しかも、舞台が人形町で、登場人物は街の商店街の人々で、描写のそこかしこに風景や風俗が見えて・・・もう良いとしか言いようがありません。この設定の練り上げは圧倒的です。

しかし、何となくこれをBESTにするのは気が引けるところもありました。確かにこの作品に対しては、「舌を巻く」という感想がぴったりです。つまり完全に「負かされた」という気分です。完璧な優等生を見て、何か負けたような気すらしてしまう感じです。この作品は、どんな人にも支持される王道をずばり貫いています。

前回の「悪の教典」は、ちょっと大胆に冒険しているところもあったと思います。それ故に感嘆するし、もう一度読みたいのです。それに比べると、「新参者」は、絶対に減点されず、そして加点せざるを得ないコンテンツも入っているという、攻守ともに完璧な砦に見える。でも、もう一度読みたいかというと、多分読まないんじゃないかなと思います。

読み応えがあり、筋書きも良く、文章もわかりやすく、後味も良い、でも後に引かない作品かなと思います。そう頻繁に読み直したい本ではないと思うので、この本は、買うよりも図書館で借りることをおすすめします。

 

WORST1/5・連城三紀彦「火恋」

火恋

火恋

 

 こんなWorstの選び方は余りしたくないと思っているんだけど、私はこの人の文章がどうしても好きになれません。一文一文がめちゃ長い上、妙な「・・・・・・」が多すぎます。「〜〜〜〜した時・・・・・・〜〜〜〜〜〜〜した時、〜〜〜〜が〜〜〜〜〜して、しかし〜〜〜・・・・・・〜〜〜〜〜だから〜〜〜して〜〜〜〜〜した」みたいな文章が続き、出来事が頭に入ってこない。

ストーリーは香港を舞台にした恋愛にまつわる短篇集。一つ一つのお話の流れはかなり単純でベタです。

基本的には主人公の心境のみしか描かないタイプの小説なんですが、その主人公の心境も「・・・・・・」の多用のおかげでよくわかりません。さすがに1ページで10回「・・・・・・」を使ったら、何を言いたいんだかわからなくなる気持ちをわかってほしい。

同じ一文が長いのでも、昭和初期ぐらいの作家がやると美しいし、伝わるのはなぜかなあ。多分小さな表現の違いなんだろうけど、「火恋」は長い文章を読ませてくる魅力を欠いていたと思います。

 

今思ったけど、WORSTまで本の画像付けてるの面白いよね。「この本は読むな!」みたいなこと書いてるんだけど、本の画像は付けちゃう。実は読んで欲しいってことなのかな。