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なぜ彼女は処女膜で歌ったか

つまり、何故アシカは鹿ではないか

【読書1/5・第7回】△芦原すなお「青春デンデケデケデケ」▼江國香織「きらきらひかる」

今回はすごく時間がかかりました。というのは、この5冊を読むのは簡単だったんだけど、「青春デンデケデケデケ」を読み終えた後に京極夏彦を読み始めたら、いつまでたっても読み終わらなくなってしまったの。5冊目は江國香織に差し替えました。

 

・原尞「私の殺した少女」

主人公の探偵が非常に不運な人。最初から最後まで彼がものすごく不運。とにかくすごい運が悪い。殺人事件ミステリーで、真相もまあまあ興味深くて、適度に入り組んでいて面白くて、ただただ探偵が不運。

 

吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

ふんわりした小説だけど、余りにもふんわりしすぎていてあらすじが書けない。ふわっふわである。最初から最後まで何も起こらなかったというわけでもないが、思い返せばそんなに何が起こったわけでもないな、という感じ。まったり系。多分こういう本が好きな人もいるはず。ぼーっとする代わりに読むならオススメできる。

 

・木内昇「漂砂のうたう」

舞台設定は面白いけど。伏線を回収していないところがあり、結局アレって何だったの感が拭えない。主人公だけがモラルがやたらしっかりしているかと思いきや、周囲に流されたりして、感情移入したり応援したりする気持ちにならない。色街の生活の様子がわかってとても興味深かったけど、小説の筋書きは余り面白くなかった。遊郭に興味ある人は是非読んでみてください。内容はつまんないですけどね。

 

BEST1/5・芦原すなお青春デンデケデケデケ

青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)

青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)

 

 本当に面白い本をBESTに選べる時は、とっても嬉しいものです。正直になるのが嬉しいのかもしれないな。私はこの本をBESTに選べてとっても嬉しいです。

久しぶりに殺人事件が出てこない話で、面白い本を読みました。文体がなじみやすく、とても魅力的。笑顔になってしまうようなチャーミングさがあります。

あらすじは、高校生になってロック(といっても今の50代の言うロックだから四捨五入すると童謡ですよ)バンドを始めた少年たちのバンド活動の話。それがまるで高校生のような独特のユーモアを交えて書いてあります。「赤頭巾ちゃん気をつけて」の時も思ったけれど、本当にすごい作家は、自分が高校生じゃなくても、高校生みたいな文体を書けるようです。

筋書き上、音楽が非常に重要なのだけど、「その音楽を知らないとこの小説は読めませんよフン」みたいな上から目線感がないし、音楽に寄り添いすぎて映画か朗読劇みたいな感じにもなっていない。音を上手く(下手に?)カタカナで表現しているので、文章としてちゃんと味わうことができるような気がします。
深読みする方だと多分もっと色々「青春の切なさが〜〜」とか言えるんだと思うけど、私は普通に可愛くてコミカルでおかしい小説として読みました。おすすめ。

 

WORST1/5・江國香織きらきらひかる」 

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

 

 本当に嫌いな本をWORSTに選ぶというのも、割と気持ちが良いものです。この本大嫌いなので、今とても気持ちいいです。

こんな言い方は何だかなと思いますが、この終わり方はちょっとゴミではないでしょうか。終わり方が、ジャンプの打ち切りマンガみたい。何一つ問題を解決しないまま、適当に大団円にしたように見えます。

ほんとにラストまではめちゃめちゃ面白かったんですよ。精神的に参ってて暴れたりする女と、ホモの男(恋人有)が結婚して、一緒に生活する。でも、女は男のことが人間的に好きな以上に、もっとパートナーとしての触れ合いが欲しくなってきて、だんだんもっと大事にされたくなってくる。その不足感が彼女の鬱と交じり合って彼女は徐々に頭がグルグルになってしまって、「男の恋人の精子で人工授精してもいい」という破壊的な衝動まで抱くようになる。
ここまではめっちゃ面白かったし、共感したし、「最後はどうなるんだろう、彼女はやっぱり男とは別れなければならない」って思ってたんだけど、何か打ち切りみたいに終わってしまって、どうしていいのかわからなくなってしまった。なんじゃこりゃ。