なぜ彼女は処女膜で歌ったか

つまり、何故アシカは鹿ではないか

【読書1/5・第8回】△有栖川有栖「マレー鉄道の謎」▼万城目学「プリンセス・トヨトミ」

とうとう40冊ですね!うおお!

読書に関しては、継続に力なんかないんじゃないかと思いだしました。読めば読むほど、だんだんどの小説にも興味がなくなります。特に最近推理小説が嫌いになってきた。

世の中には少々ミステリーとか警察系の小説が多すぎやしませんか?

 

誉田哲也ストロベリーナイト

設定は面白いし、ワクワクもするのだが、少々語るべきことが多すぎると感じた。主人公姫川の過去のトラウマ、姫川の現在の刑事としての働き方、現在起こっている事件が3つ同時に展開され、結局最後までどれも余り解決せずに終わってしまった。「で?」という読後感。

 

綾辻行人十角館の殺人

徐々に種明かししていくタイプではなく、全員殺しちゃってから最後にまとめて種明かしする小説なので、余計に犯人の心境が気になります。動機の面が少々薄っぺらく、「あぁそうなんだ、勝手にやってくれ」という感じになりました。
しかしAnotherよりもずっと良かったです。簡潔でした。

 

歌野晶午「密室殺人ゲーム2.0」

「殺人事件って楽しい^^殺してみたい^^」って思ったことがない人は、あとがきから読むべきです。そうでなければただ不快なだけの本になります。あとがきを読むと、「うーん、なるほど、こういうことがやりたかったんだな」と思うのですが、なかなか人を選ぶ本だと思いました。

 

BEST1/5・有栖川有栖「マレー鉄道の謎」

マレー鉄道の謎 (講談社文庫)

マレー鉄道の謎 (講談社文庫)

 

正直もうミステリー小説は嫌なのですが、これは結構楽しく読めました。短文がとてもチャーミングで洒落ています。

あらすじは・・・特筆すべきことはありません。探偵とその友達がマレー半島に行って、犯罪に巻き込まれて色々アレしてコレしてあぁ楽しいみたいな典型的なミステリー小説です。コナンくん型です。
ちょっとトリックに無理はあります。ちょっとっていうか相当無理してるか。しかし、文体の憎めなさによって上手いことカバーしてあるという印象です。いやカバーできてないかもしれないのですが、まああんまり腹が立たなかったです。

とにかく文体が軽妙で、何でもないところで可愛らしくて笑ってしまいます。こういう攻め方もあるんですね。

 

WORST1/5・万城目学プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

 

こんな意味不明な小説でも売れたり映画化したりするんだなぁ、と思いました。

何だかよくわからないのですが、実は大阪府には「大阪国」とかいう謎の独立国があって、日本からのODAだかよくわからないお金で運営をしていて、プリンセスに危機が訪れたら人々が立ち上がる、みたいな、本当に心から意味がわからないし、わかったところでどうでもいいみたいな設定です。一番重要で説得力がなければならない歴史的経緯の部分が余りにも適当で、もう少し何とかならなかったのかと思います。全てが「明治時代から続いてきた風習だから」という言い訳で片付けられています。明治時代に成立した風習って比較的新しい(関西では明治創業の店は老舗ではないと言うでしょ)し、もっと由来をはっきり書きなさいよ、という感じ。

文句ばっかり言ってますが、私はクソビッチだと思いますね。この小説に文句つける奴はみんなクソビッチでしょ。多分作者は、「大阪国」っていうのをやりたかったんだと思います。にも関わらず、それに対して文句を言うのはそもそも間違ってると思うんです。「『大阪国』上等じゃねえか、一度は見てみたかった!細かいことはいいや!」という江戸っ子的なスタンスが、この小説に対する正しい接し方だと思います。

まあWORSTですけどね。二度と読まない。