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なぜ彼女は処女膜で歌ったか

つまり、何故アシカは鹿ではないか

【読書1/5・第9回】△横山秀夫「クライマーズ・ハイ」▼リリー・フランキー「東京タワー」

久しぶりに迷わず褒めちぎりたいのと、迷わずこき下ろしたいのが5冊の中に入って幸せです。

 

愛川晶「化身」

主人公が1歳の頃の記憶をめちゃくちゃ正確に記憶しています。才能でしょうか。
全体の流れは面白かったのですが、主人公が徐々に事件の重要事項を思い出していく系の小説は、どうしても読み手に騙された感を抱かせますね。

 

吉本ばなな「キッチン」

正直またか、という感じ(デビュー作だけど)。
吉本ばななの小説は、精神不安定で他人に影響されやすい妄想癖がある女性が、年の割に上品で落ち着きすぎた天使みたいな個性のない男性と、好きなんだか好きじゃないんだかよくわからない雰囲気を醸し出し、最後まで読んでみて、あぁノロケだったの、と気付く、みたいなパターンが多くありませんか?

 

楡周平「Cの福音」

90年代中盤に書かれた小説なので、パソコンに関する設定が異様に古いのですが、じゃあ内容も時代遅れなのかというとそうでもありません。
麻薬取引に関する小説自体、読んだことがなかったので、結構興味深く読みました。
ただ大きく盛り上がる系のアクション小説という感じではなく、かなり淡々と描かれています。言ってみれば麻薬取引日常系小説です。麻薬をドラマティックに盛り上げて書くのではなく、事実(虚構)を普通に描きたかったのかな、と思います。

 

BEST1/5・横山秀夫クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

 

 久しぶりに見事な小説を読みました。読み始めたら止まらず、一晩で読みました。これは本当に素晴らしいエンターテインメントです。

日航123機墜落事故の時の新聞社が主な舞台です。これが非常に面白くて、とても勉強になりました。新聞がどうやって特ダネを載せるか、その葛藤みたいなものがとてもワクワクするように描かれていますし、そもそも日航123機墜落事故について詳しくもなれるという、神のような小説です。

また、報道倫理や命の扱いなど、メッセージ性の配分が心地よく、無駄に泣かせに来るわけではないのに、胸にちゃんとメッセージが残りました。泣け泣け言わないのに、ちゃんと深刻なんです。心地よい。
これは是非また読みたい小説です。今期最「他人に勧めたい小説」かもしれない。読んだことを自慢したい。

 

WORST1/5・リリー・フランキー東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜」

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

 

何故こんな小説を手に取ろうと思ったのか。今思えば血迷ってる。題名からして血迷ってる。

久しぶりにこんなにつまんない小説を読みました。

本の最初の方からお母さんが死ぬ話だってことはわかりきってるんですよ。そこから彼女が実際に死ぬまで490ページ。亡くなった時は「やっと!満を持して!」と思いました。素晴らしい話なのかもしれませんが、読み疲れました。490ページの間、ほぼ筆者がどれだけ仕事をしないでお母さんのお金で遊んで暮らしたか、みたいな話でした。アハイですよアハイ。寛容なお母さんでよかったねぇってな感じで。

まず小説の形式が非常に曖昧な感じです。私小説みたいな雰囲気を漂わせながら、突然現代を生きる筆者が、有名作家である自分の現在の価値観で若い女性に文句を言ったりするエッセイが挟み込まれるタイプの書物です。私はこの人に全く興味がないので、別にエッセイなんか読みたくなかった。面白くない通り越してウザかったですね。

爽快な嫌いさです。