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なぜ彼女は処女膜で歌ったか

つまり、何故アシカは鹿ではないか

【読書1/5・第10回】△三浦しをん「風が強く吹いている」▼乾くるみ「イニシエーション・ラブ」

これで50冊読みました。ここまででわかったことですが、私の好みは、個性的で語句不足な文体で詩人っぽく夢のように書いてくれる作家です。逆に一生懸命文字数費やして説明してくれる作家は酷評してしまいます。ツンデレですね。

なので私が酷評していても、余り気にしないでいただきたいです。誰でも文句言ってる時が一番瞳がキラキラしてるでしょう。

 

この小説は電子書籍で読んだのが良くなかったのでしょうか。評判に比べて全く楽しめませんでした。
建築学科教授、プログラマーの天才、あと大学の新入生の天才という三人の天才が登場するのですが、誰一人として天才に思えません。この三人の天才は、どうしても人離れしてるように描かれるため、人間らしいところもなくなり、感情移入ができませんでした。なので物語の展開に対して、ふーん、としか反応できない。
ミステリーファンであれば、おそらく謎解きが気になって、トリックに感動して、という印象も持てたのだと思いますが、私はミステリーファンではありませんので、登場人物が好きでないといくら人が死んでも、ふーん、としか思えません。どうやら続編を読むと色々わかって面白いらしいのですが、私は読むことはないと思います。少々勝手な意見だとは思いますが、シリーズってかこつけて「本当の面白みや人物描写は次巻以降で!」っていう本はずるくないでしょうか。
全体の印象として、「勝手にFになれ」と思いました。
 
2chの読書オススメ板で異常に人気な本ですが、平凡だと思いました。戸籍人探し系のミステリーは他にもあるし、この本が特別優れているようには思えませんでした。しかしこれは期待が高かっただけとも言えます。
失踪する人は小説として読んでドラマティックな事情があるのではなく、ただの普通の人なんだよということを描いた小説だと思いますので、エンタメ性はその分下がっても仕方がないと思います。
 
乃南アサ「凍える牙」
ウルフドッグが暴れまわる事件を追う女性刑事と、男性中心で回ってきた警察機構との摩擦などを描いた話です。この手の男女共同参画社会的な小説が流行っていた時期なのかな。女性刑事ものはほとんど必ずこんな感じで、あんまり楽しい気分で読めません。同じく女刑事物の「ストロベリーナイト」よりは良いです。「ストロベリーナイト」は女性刑事の性格が媚びてて腹が立ちましたが、こちらの刑事はちゃんと女性があこがれを持てるクールな感じです。
動物が関わるミステリーは初めて読みました。動物特有の適当さによってうまくご都合主義を隠そうとしている感じがしますが、動物を出す以上どうしてもこんな感じになっちゃうんでしょうか。
 
BEST1/5・三浦しをん「風が強く吹いている」 
風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

 

 はぁーーーーーーー若い男の子!大好き!運動してる男の子!大好き!大好き!

箱根駅伝に出る大学生たちの話です。もう終始胸がキュンキュンしました。あぁーーーーー楽しかったぁーーーーほんと萌えまくりました。
テーマ性とか聞かれるとちょっと困りますけど、登場人物に感情移入して、あぁ頑張れ頑張れって思って応援して、最後まで結末が気になっちゃったくらいなので、私は何の批判もしようがありません!
敢えて言うなら少々児童書的な展開だと思います。スポーツによって引き起こされる感情の深み、苦しみ、挫折、メッセージ性に期待して読む方は多分物足りないと思います。スポーツをやっている男の子を眺めていたいだけのスポーツライトユーザーにオススメです。駅伝の雑学も得られて満足です。
 
イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

 この作品は目的のはっきりした小説です。叙述トリックのためだけに存在している小説です。叙述トリックを使う目的はありません。ただ使いたかったから使う、非常にあっさりした考え方です。

この小説は叙述トリックのみしか旨みがありません。いや、叙述トリック自体にも旨みはないでしょう。叙述トリックを使ったことによって、読者にもっと素晴らしいメッセージが伝わるとか、面白かった筋書きがより面白くなるとか、それが叙述トリックの旨みだと私は思います。しかしこの小説は、叙述トリックなしの筋書きが余りにも面白くなく、何も楽しくないんです。叙述トリックなしでは何も面白くない筋書きに叙述トリックを入れて、さあ面白いでしょうという小説です。
初めて付き合った相手とは大体別れちゃったりして、これが通過儀礼ってヤツだよねっていう「イニシエーションラブ」というテーマ自体も、正直大きなお世話で、世の中には初めて付き合った相手と結婚して添い遂げる人間もたくさんいるだろうに、お粗末な考え方と言わざるを得ません。そのお粗末な考え方も共感できないまでも納得できるように描いてくれれば良いのですが、テーマの掘り下げについてはノータッチでしたので、反応に困りました。
偉そうに言って本当に申し訳ないと思いますが、内容がなさすぎます。叙述トリックも含めてショート・ショートくらいの内容の厚みしかない。メッセージ性もない。時代を象徴する今っぽい事象でもないし、事件性もないし、新規性もない。「箱男」の最初の1ページだけでこの小説全部合わせたくらいの事件性があります。これを買うのは絶対におすすめしません。同じ叙述トリックなら、「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだほうが、叙述トリック自体にメッセージ性があるので価値のある時間になります。
ここまで酷評すると逆に読みたくなりそうですね。あらすじ解説サイトがいっぱいあるので、それを読むだけで十分です。