【読書1/5・第14回】△乙一「暗いところで待ち合わせ」▼浅田次郎「王妃の館」
半年間に読んだ本シリーズ第二弾。相変わらずぼんやりしたレビューです。
今回の五冊はどれもよかったです。
・有栖川有栖「双頭の悪魔」
普通の推理小説なのですが、章の途中で「読者への挑戦コーナー」が設けられており、「ここまでの小説を読んだ中で、あれこれの謎を解け」と問題が出題される面白い構成です。恐らくサスペンスファンの方は、問題出題されるまでもなく、自分で色々考えて推理しながら読むのでしょうが、私は推理しながら読む方ではなかったので、結構新鮮でした。
芸術家たちが隠れ住む村ということで、登場人物がオシャレ感満載。香水を調合する人が登場する小説とか読んだことなかったです。
・東野圭吾「秘密」
事故の拍子に誰かと誰かの精神が入れ替わってしまう設定とか、結末の設定とか、どことなく既読感は漂っています。しかしさすが東野圭吾。心情表現が細やかで、そういった既読感の中でも退屈させない質に仕上げてきます。既存の設定の使い回しではなく、よく知られた設定に対する優等生による解答といった感じ。
人生の不思議なめぐり合わせに翻弄される二人の孤立感がとても悲しく、泣きました。
「風が強く吹いている」と同じく、スポ根的青春ご都合展開。周囲の環境に大変恵まれた主人公が才能を活かしてちゃんと成功する。
題材が辞書編纂ということで珍しいし、辞書編纂の時のジレンマみたいなものが三浦しをんらしい明るさ(浅さ)で扱われている。
実態はもっと苦しいに違いないが、エンタメなんだからいいじゃないか!という本。私はこういうの好きです!
まあまあオススメですが、買うほどではないかな?図書館へGO!
BEST1/5・乙一「暗いところで待ち合わせ」
聴覚障害と犯罪をテーマにした小説ですが、結構癒し系です。聴覚障害の女の家に、犯罪の容疑者として追われる男が隠れて生活する話。手探りで人間同士が繋がっていく様子がとても心地よくて、オシャレな小説です。
WORST1/5・浅田次郎「王妃の館」
読みやすいように、そこかしこに下ネタやギャグが散りばめられているのですが、残念ながらそういうネタには流行がありますよね。既にお寒い感じになっちゃっています。
ストーリーはかなり真面目なもので、フランスの歴史をきちんと扱おうという姿勢が見えます。しかし大衆が読みやすいように気を使いすぎて、古くなってしまった感がありました。
このレビューで伝わるかと思いますが、WORSTというほど悪い小説では決してなく、結構面白いし、よく練られています。