クズ野郎式イエス・キリスト物語〜迷言編〜
何と第4回に突入した、クズ野郎式イエス・キリスト物語ですが、今回が一番ヘビーかつ重要そうです。
というのは、欧米人のキリスト教徒は割と新約聖書のたとえを、日常会話に入れてくるからです。
なんだろ、アニオタが挿入する物を全部「エントリープラグ」って呼んだり、液状の物を全部「淫汁」って呼んだりする的な?クリスチャン共通ネタみたいな?
正直イエスに全く興味のない我々にとって、イエスが何を宣ったかについては、イエスの人生よりも輪をかけて興味がないと思いますので、なるべくさらっと、有名なネタだけに絞れるように頑張りたいと思います。
唯一の救いは、イエスは割と電波ちゃんで、突っ込みどころ満載なことを言うところですかね。
【クズ野郎のルール】(省略)
<地の塩>
これはクリスチャンが大好きなネタですw
「あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取り戻されようか。最早何の役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々に踏みつけられるだけである。あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない。」
このたとえの意味は、「神の信者である君たちは、世の模範となるもので、信仰の最後の砦だから、信仰を失わずに頑張れ。君たちは見られている」という感じです。
英語では「Be the salt of the earth」というように使い、「世の模範となる人となれ」という意味になります。
この一節は「神」という単語を一度も出さずに、詩的表現のみで倫理観について述べているのが大変好感を持てます。日本語詩としても非常に上手くまとまっていて、特に最後の「山の上にある町は・・・」が美しいですね。アニメキャラの決め台詞として使いたいくらいかっこいいです。
<右の頬を打つ者があれば、左の頬をも>
私は個人的に「地の塩」が好きなのですが、こちらの「右の頬を・・・」の方が有名でしょうか。
当時、ハムラビ法典における復讐に関する条文「目には目を、歯には歯を」が非常に有名で、ある程度の復讐はしていいと考えられていたわけですが、イエスはそれに対して「許し、親切で倍返しする」という選択肢を説いたわけです。
それが、「もし、誰かがあなたの右の頬を打つなら、他の頬をも向けてやりなさい」という箇所です。
この表現は、実際にやったら相当シュールなこともあって、よくジョークにされていますが、イエスは一応大まじめですwww
この一文は、これだけを読むと「キリスト教徒は殴られても無抵抗なのかー」と思いがちですが、この文は次に「下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい」と続いており、この段落の最後は、「求める者には与え、借りようとする者を断るな」と締めくくられています。
個人的には、非暴力というよりは、「騙す奴、人を殴る奴、意地悪な奴にも復讐するのではなく、親切にしてやれ」という意味に思えます。
英語ではきちんと言えば「If someone strikes you on the right cheek, turn the other cheek also」ですが、慣用的に「turn the other cheek」と言えば、「報復しない」という意味の諺として通じます。
<善いサマリヤ人のたとえ>
このたとえも有名です。
律法学者が「永遠の命を得るためにはどうすればいいか」と質問したところ、イエスは例によって例えで返します。
「ある人が強盗に襲われて身ぐるみはがれて倒れているのに対して、祭司など彼らを助けそうな人々は通り過ぎて行ったのに対し、ユダヤ人から大変嫌われていたサマリア人だけがこの人を助けてやった」みたいな話です。
この例えの解釈は、宗派によって違うらしいので深入りしませんが、英語で「Good Samaritan」と言う時には、「苦しんでいる人のよき友、情け深い人」という意味合いらしいですよ。
うん、ここ余り興味なかったの><><
<マグダラのマリア>
これは皆さん大好きなエピソードに違いない。エピソードの内容がというか、マグダラのマリアが娼婦であったという設定がエロいから!!!!!!あとイエスにオイルマッサージするのも泡姫っぽくてエロいから!!!!!
いえいえ違うんですよ!
実はマグダラのマリアが娼婦であったorオイルマッサージしたという事実は、聖書には書かれていないのです!!!
娼婦の女性、オイルマッサージの女性は二人共聖書に登場しますが、それとマグダラのマリアが同一人物であるとは書かれていないのです!
こんなにも多くの二次創作物がマグダラのマリアが娼婦かオイルマッサージ師として描いてきたのに、意外ですね。
Lady GagaのJudasという曲のPVもマグダラのマリアが主人公として出てきており、オイルマッサージしたり石を投げられたりしていますが、これは聖書に基づいていません。
マグダラのマリアは、聖書中には後半にちょろっと出てきているだけで、ほとんど登場しないのです(イエスの死のところで後述)。
<娼婦の女>
マグダラのマリアと混同されがちな2人の女をご紹介しておきます。
まずは娼婦の女。聖書では「姦淫する女」と書かれていますので、浮気の可能性もありますが・・・
ファリサイ派が、姦淫の現場を捕らえられた女性を引っ立ててイエスのところにやってきます。
そして、「旧約聖書には、姦淫した者は石で打ち殺せと書かれているが、お前はどう思うか」とイエスに尋ねます。
これは非常に難しい質問です。イエスは聖書をきちんと読み、よく引用します。しかしイエスは罪人を許す慈悲を説いています。どちらのスタンスを取っても、ファリサイ派にはイエスを責める口実になるのです。ファリサイ派賢いな。
そこで飛び出した名言が、かの有名な
「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」です。
何というか、このエピソード無性に一休さん思い出す。
完全に「このはし渡っちゃいけません?いえいえ真ん中歩いて渡ってきました」の臭いがする。
<オイルマッサージ師>
次に、オイルマッサージする女。
ベタニアという場所に住んでいたマリアという女で、イエスとの食事会において、非常に高価なナルドの香油(良い匂いがするオイル)をおもてなしとしてイエスの頭に注ぎかけてくれ、足を洗って自分の髪の毛で拭いてくれたエピソード。
この時、弟子達(ユダとも言われる)は贅沢をとがめますが、イエスはマリアに感謝して、「この女は私に埋葬の準備をしてくれた(埋葬の際、遺体に香油をつける習慣があったため)」と褒めてやります。
この時既に、イエスは自分の死期が近いことを知っていたのでした。
一応こんなもんでしょうか・・・。
他には、羊やいちじくの木というモチーフがイエスの発言に頻出しますよ。あと「豚に真珠」も聖書由来の諺なんですお。
次回、やっとイエスの処刑まで行けそうな感じ!